子宮頸がん世界学会のレポート

モナコで2月に開かれた子宮頸がんの世界最大規模の学会EUROGINと、同時に開催されたWACCフォーラムという会議に参加しました。

欧米をはじめとする2千人以上の医師や研究者らが集まり、子宮頸がんの予防に向けた最新の研究成果の報告や、活発な議論が交わされるさまを見て、日本での活動をもっと積極的に広げなければいけないと痛感しました。WACCでの発表や議論を中心にリポートします。

今回、医師や研究者らでつくる「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」(議長=野田起一郎・近畿大学名誉教授)が主宰したツアーのメンバーとして訪欧しました。この会議は「ゼロプロジェクト」とも呼ばれ、その名の通り、子宮頸がんで命を失う人を無くそうという活動を行っています。ツアーは、世界の最新の議論に触れ、日本での活動にいかしてもらおうと企画され、市民団体の代表や医療関係者、ジャーナリストら12人が参加しました。

子宮頸がんをめぐる状況は、大きく変化しています。世界では、原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐと期待されるワクチンの普及とともに、検診手段の研究開発が様々に進んでいます。

こうした状況に関するたくさんの研究成果が報告されたEUROGINで実感したのは、欧米では「子宮頸がんゼロ」に向けた歩みが着実に進んでいるということでした。
もちろん、すべてがハッピーな方向に進んでいるというわけではありません。議題もどんどん指摘されました。ワクチンが高価なことは世界共通の悩みで、とくに発展途上国で大きな問題となっていることが見て取れました。しかし、そうした課題もEUROGINの対応すべき問題であるとの認識は共有され、実際にどんな対策が必要か、意見が交わされていました。

【正しい情報の普及 先進国、途上国共通の課題】
こうした中で、最も印象深かったのはWACCでの議論でした(WACCは、Women Against Cervical Cancerの略です)。検診の受診率が高く、ワクチン接種が普及している国・地域も、そうでない国・地域も、いかにして多くの人々に正しい情報を適切に伝えるか、という問題に悩んでいる、ということでした。日本にいる私たちから見ると、子宮頸がんによる死亡が減っている欧米では情報や教育が進んでいると思っていたのですが、啓発活動の難しさを改めて思い知らされました。

欧州の研究者は「ある26歳の女性は19歳のときに子宮頸がんを発病しました。彼女は悩んでいます。それって私のせい?」といったように、多くの若い女性の体験を報告し、ティーンエージャーへの教育の重要性を訴えていました。

WACCフォーラムのキーワードの一つが、エビデンスベーストインフォメーションという言葉でした。「やみくも」に啓発活動をするのではなく、子どもなら子どもに、学生なら学生に、働く若い女性なら働く若い女性に、主婦なら主婦に、それぞれに向けた情報の内容と提供のあり方を考える必要があるのです。

性別、世代によって知識に差が見られること、医療従事者や教育者もみんなが正しい知識を持っているわけではないこと、そういったことを理解したうえで、いかに情報を発信するか。どれが欠けても、子宮頸がん征圧という目標は達成されないのです。

【性別、年代別・・・・・・ 各層に応じたツールを】
さて、情報量は先進国と並ぶのに検診の受診率は足元にも及ばない日本はどうすれば良いのか。

例えば性に関してオープンではない文化的側面を踏まえたポジティブなメッセージ。誰もが当事者意識を持てる強い後押し。女性、男性、親、子ども、医療従事者、教育者・・・・・・それぞれの立場の人が公衆衛生のためにどんな情報が必要かを考え、最適なツールを用いて伝える必要があります。

ベルギーでは、政府、メディア、学校、製薬会社などが一斉に取り組み、1年で認知度がとても上がった例があるそうです。参考にできるのではと思います。一過性の話題になることは避けなければなりません。

私たちリボンムーブメントは、大学生だという立場だからこそできることを実行する・・・それが活動の基本です。昨年度の活動を踏まえ、モナコで学んだことをいかして活動を充実させたいと考えています。
まず3千人を対象にした大学生の意識調査です。定点観測で1年ごとに収集し日本での子宮頸がんの認知レベルを計り、活動に反映していきたいと思います。
「I know web」というサイトも開設しました。大学生にメッセージを書いてもらい、それを手にした写真を掲載します。たくさんの「笑顔」を掲載することでがんが怖いイメージを払拭し、子宮頸がんのことを知っているのが当たり前の社会を目指します。

(ヒトパピローマウィルスの発見者、ツァ・ハウゼン博士と)

ツアーに参加させてくださった方々に深く感謝し、これからも共に活動して参りたいと思います。